お米を食べて健康になろう!

皆さんはご自身の健康について、普段どれだけ気をつけていらっしゃいますか?

自分の健康の事なんて、全然気にしていないという方は稀で、大抵の方は「気にはしているけど特に何かを心掛けているという事は無い」というのがほとんどではないでしょうか。

健康に対する考え方も人によっては異なりますので、「これこそが健康だ」と言い切る事は難しいと思います。しかし、「適度な運動」「バランスの取れた食事」「充分な睡眠」を取る事で、ある程度気持ちの面で健康であると自信を持って生活する事は出来ると思います。

今回紹介する記事では、この「適度な運動」「充分な睡眠」を考察した上で、「バランスの取れた食事」について考えてみたいと思います。

その中で、日本人の主食であるお米の効能について、他の食品との比較も含めて検討してみたいと思います。

適度な運動とその消費カロリーについて

 まずは「適度な運動」について、考えてみたいと思います。

テレビや雑誌等で、医師から頻繁に伝えられる言葉として、「適度な運動を心掛けましょう」と良く耳にします。適度ってどの程度のものなのかイメージし辛いと思いますので、一般的にどの程度のものが適度に当たるのか見てみましょう。

適度・・な運動とは?

「適度な運動」で検索をかけると、「息がはずみ、汗をかく程度の運動を週合計60分、毎週続ける事」と出てきます。1回20分程度を週3回や、週末に1回60分の運動でも良いと書かれていますが、適度かどうかを問われるとすこし少ない様な気がします。

別の項目では、「ウォーキングなど、中程度の運動を週150分。できれば30分を5回に分けるのが理想」とも書かれています。

単純計算で運動量が2.5倍になりましたが、ウォーキング週150分は、WHO世界保健機構が出している有酸素運動についてのガイドラインになります。1日30分のウォーキングが週5回となると、かなり「適度感」満載な気がします。説得力もありますし、参考にしたいものです。

消費カロリーとMETs

この30分の間に消費する消費カロリーは、体重50㎏の人で約92kcal、バナナ1本分のカロリーに相当します。体重が増えるにつれて、消費カロリーが多くなる傾向にあり、体重60kgの人で約110kcal、体重70㎏の人で約129kcalになります。

 それ以外の体重の方に対しても、消費カロリーはMETs(メッツ)と言う運動強度の単位を調べて見る事で計算する事が出来ます。ウォーキングを基準にしてみましたが、ジョギング・ランニングそれぞれの速度の違いによってMETsは変わりますので、下の表を参考にして頂けたらと思います。

 自分の運動がどの程度のMETs指数となるのか、おおよその見当がついたら消費カロリーは以下の計算方法で算出する事が出来ます。

 消費カロリー(kcal)=METs×体重(㎏)×運動時間(h)×1.05

 体重50㎏の人の約92 kcalは逆算したら3.5 METsであった事がわかります。簡単な計算式なので、消費カロリーの計算をしながら運動するのも一つだと思います。

 単純に30分のウォーキングで約100 kcalを消費すると仮定して、その100 kcalに相当する食べ物を少し表にしてみました。

食物繊維を多く含むごはんやリンゴは、摂取カロリーがあまり大きくない傾向にあります。

反面、ポテトチップスやマヨネーズは手軽に口にする事が出来るので、ついつい過剰に摂取しがちな食品と言えそうです。

 年齢、男女の違いによって基礎代謝量が変わってきますので、一概には言えませんが、1日の総消費カロリーは、約1800~2000キロカロリーだと言われています。ポテトチップスやマヨネーズを沢山食べたとしても、ウォーキングを1時間も2時間もしないといけないとは全然思いませんので、あまり強迫観念は持つ必要は無いと思います。あくまでも参考の一つとして考えて下さい。

充分な睡眠と睡眠の質について

 充分な睡眠については、睡眠時間をただ増やす事だけを心掛けても、あまり意味はありません。睡眠は体を休めるのと同時に、脳も休みを取っています。この脳を充分に休ませる事が健康に大きく関わっているのです。

充分な睡眠と睡眠時間

「充分な睡眠≠睡眠時間の多さ」をまずは意識する事が大事です。

 厚生労働省が発表している、睡眠の質の評価指標として以下の物が挙げられています。

 ①:規則正しい睡眠が取れており、昼夜のメリハリがはっきりしている。

 ②:必要な睡眠時間が確保されており、日中に眠気を感じる事が無い。

 ③:睡眠中に急に起きたりする事が無く、睡眠が安定している。

 ④:気持ちよく目覚める事が出来、目覚めてからもスムーズに行動に移せる。

 ⑤:寝床についてから、過度な時間をかけずにすぐに就寝する事が出来る。

 

これらの項目一つ一つを実感出来る様になれば、充分な睡眠が取れていると言えるのではないでしょうか。

では、どの様な睡眠を心掛ければ、これらの項目を満たせる様になるのか、今度は睡眠の質を上げる項目を調べてみましょう。

Ⅰ:生活サイクルを整えて、就寝と起床の時間を一定にする。

Ⅱ:朝起きたら、太陽の光を体に浴びる事で、体内時計をリセットする。

Ⅲ:睡眠の1時間以上前に、ぬるめのお風呂に入り、副交感神経を活発にさせておく。

Ⅳ:就寝前の食事やカフェインの摂取を控える。

Ⅴ:ストレスを溜め込まず、趣味や余暇で気分転換を図る。

上に挙げた項目以外にも、「寝具を変更する」とか「栄養を取る(ビタミンB6やアミノ酸トリプトファン)」等、取り上げた物の他にもたくさん項目が出てきますが、大前提として規則正しい生活を心掛ける事で、睡眠の質を高める事が出来そうだという事がわかります。Ⅰ~Ⅴの全部を整える必要はありませんので、少しだけ意識して①~⑤をクリア出来る様に目指しましょう。

レム睡眠とノンレム睡眠

また、睡眠には、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」という2つの睡眠サイクルがあります。このサイクルは約90分で一つのサイクルとなっているので、90分の倍数眠るのが良いと一般的に言われています。7時間(420分)よりも6時間(360分)の睡眠時間の方が、目覚めた時の感覚が優れているのはその為です。生活サイクルを整える際に、少し参考にして頂きたいと思います。

バランスの取れた食事

 前置きが長くなりましたが、「適度な運動」と「充分な睡眠」を確保する事が出来たとしても、体を内面からしっかり支えているのは、日々のバランスの取れた食事にあります。

人間は食べ物を口にする事で、体に必要な五大栄養素(タンパク質・脂質・炭水化物・ビタミン・ミネラル)を摂取しています。それぞれの栄養素がバランス良く摂取される事で、健康が保たれており、過小過多はいけません。

三大栄養素

 その内の三大栄養素であるタンパク質・脂質・炭水化物の摂取バランスは、

タンパク質 : 13%~20%

脂質    : 20%~30%

炭水化物  : 50%~65%

と言われております。炭水化物の摂取割合が50%を超えているのは少し驚きましたが、炭水化物は体のエネルギー源(グリコーゲン)なので、脳や神経組織を働かせるのに欠く事が出来ない栄養素です。タンパク質や脂質の栄養素からでは動かす事が出来ませんので、少なすぎると運動や睡眠の大きな障害になります。

摂取バランスの割合が50%を越える炭水化物が、食事の中心に位置しているのを鑑みて、炭水化物の代表格であり日本人の主食でもあるお米について、少しスポットを当ててみたいと思います。

お米の消費とお米以外の炭水化物

農林水産省の統計データでは、国民一人当たりのお米に対する供給純食料(人間の消費に直接利用可能な量)は、昭和37年の118.3kgをピークに徐々に減少傾向にあり、令和3年では51.5kgと、約43%の数値に落ち込んでいます。

昔は食べる物が多様化していなかった為、日本人は毎日お米を食べていたのですが、近年はお米以外の炭水化物を手軽に口に出来ますので、年間消費量は徐々に落ち込みつつあります。

就労における高齢化が進みつつある農業の問題として、耕作面積は年々減少傾向にあり、お米の生産量は減りつつあるのが現状です。しかし、国内で生産されるお米の生産量と消費量との関係性としては、概ね生産量が消費量を上回っている事から、お米の国内需給率はほぼ100%近くを保っています。従って、お米の供給量が少なくなって、お米を食べられなくなっているという事はありません。

この点からも、年々お米以外の炭水化物を口にする事で、日本人の食文化は形成されつつあるのがわかります。お米以外の主食として登場してくるのは主に小麦です。小麦以外にはソバ・じゃがいも・とうもろこし等が挙げられます。

同じ炭水化物でもお米は炊飯加工されて「ごはん」として食べられるのがほとんどであるのに対して、小麦は「パン」や「麺」に形を変えて食べられています。小麦の方が多様性のある食品として食べる機会が多い為、消費量が増えるのは致し方ないのかもしれません。また、アサイーやチアシードの様なスーパーフードの登場も、お米の消費量が減る要因の一つとなっています。

健康志向が高まり、お米の主成分である炭水化物を摂取する事が、あまり良くない風潮が見受けられますが、お米を食べる事は果たして良くない事なのかどうかは、気になる点ではあります。

摂取バランス50%程度が推奨されている中で、ビタミン・ミネラルを同時に摂取出来るお米を摂取する事は、決して悪い事とは思えません。あくまでも過剰摂取(=食べ過ぎ)が悪いのであって、お米が持っているポテンシャルはどの程度なのかを、キチンと理解してみる必要はあると思います。

次項では、お米が持っている栄養価について詳しく調べてみたいと思います。

お米の優れた効能について

世界中の学者が、「お米を食べる事は体に良い事である」という論文結果を発表している中で、逆に「お米を食べる事は体に良くない」という論文を展開している動きもあります。

実際の所、体に「良い」・「悪い」の論文結果が確証された訳ではないので、その時その時の捉え方で、良くも悪くもなるのが世論の動きです。「お米を食べている人は糖尿病に罹るリスクは増えるが、相対的に死亡率は低い傾向にある」というのは、果たしてどちらが正しいと言えるのでしょうか・・・

良くないと言われている事よりも、良いと言われている事がたくさんあるお米について、簡単に紹介したいと思います。

①グルテンフリー

見逃されがちですが、お米は天然のグルテンフリー食材です。グルテンに過敏な方や、注意を要する方は積極的に口にして頂きたいと思います。これだけでもかなり優れた食材ではないでしょうか。

②豊富なビタミンB群の宝庫

お米には、ビタミンB1・B2・B6とビタミンB群の宝庫です。ビタミンB群は神経伝達物質の生成を助けますので、神経系の健康状態を維持・改善してくれます。

③便秘の抑制と最適なスキンケア

お米には食物繊維が豊富に含まれていますので、この食物繊維が大腸をキレイに掃除してくれます。また、ビタミンB群は肌を新しく生まれ変わらせるターンオーバー(一定の周期で肌が生まれ変わるサイクル)を促進してくれますので、古くなった角質が取り除かれ、キレイなお肌美人を保つ事が出来ます。

④急激な血糖値の上昇を抑える

 お米は粒食(りゅうしょく)と言われる食べ物で、小麦やソバ等の様に粉末に加工されてから食べられる食材では無く、そのまま粒の状態で食べられます。この粒食は、パンやうどんと比べて、体内で消化吸収された血糖値の上昇を緩やかにしてくれます。また、よく噛んで食べる事とゆっくりと消化が進む事で腹持ちが良く、非常に効率の良い食品と言われています。

 簡単に紹介しましたが、良い事ずくめの様な気がしてなりません。あくまでも「食べすぎ注意」であって、お茶碗1杯~2杯程度であれば、何ら気にする必要の無い食べ物であると言えます。日本人なら毎日食べても飽きの来ない食べ物ですので、避ける必要はまったくないと思います。

あとがき

日々健康に気を付けていても、何かのきっかけで体調を崩してしまう事は仕方の無い事です。人は失ってからその有り難さを実感する事が出来るとは良く言ったものだと思います。

空腹を満たす為に生きていた食料に乏しい時代から、様々な食材を自分の好みによって選べる豊食の時代へと変化し、自分の健康に気をつけて口にする物をチョイスする事が出来るのは、大変喜ばしい事であり素晴らしい事です。

お米は日本発祥の食べ物では本来ありませんが、日本のお米は日本独自の進化を遂げ、「炊飯」される事によって「Japanese rice」として世界的に注目を浴びています。「Bread(パン)」の代わりに「Onigiri」が販売される店が欧州では増えているそうです。もちろん、健康に良いからです。

日本全国どこでもお米は取り扱われていますので、普段食べている品種以外にも積極的にアプローチしてみて、自分なりの食味・食感の違いを楽しんでみては如何でしょうか?

健康を損なう事はまったくありませんのでご心配なく!