福井の餅文化「こごめ餅」は子どもも食べやすい庶民の味

おもちのうんちく

「こごめ餅」というお餅を聞いたことがありますか?

こごめ餅はとても素朴で、昔の農家の暮らしから生まれたお餅なんです。

この記事では、福井の餅文化のひとつである「こごめ餅」について、その製法、歴史的背景や食べ方などをご紹介します。

日常の知恵:つぶつぶ食感が愛される「こごめ餅」

「こごめ餅」とは、もち米と、普段食べるごはんで使う「うるち米」を混ぜて作ったお餅です。つぶつぶが残る素朴な見た目をしています。
うるち米が入っているため粘りが少ないのが特徴で、お年寄りや子どもでも食べやすいです。
タナカ農産のある福井では「こごめ餅」と呼びますが、「たがね餅」や「こわ餅」「おぼろ餅」と呼ぶ地方もあります。


(農林水産省「うちの郷土料理」より)

福井のこごめもちは丸い形ですが

地域によってはなまこ形で細長いものを食べます

粒を残す「半殺し」製法と材料の工夫

こごめ餅の最大の特徴は、その名の通り、米粒の存在感を残した素朴で粒々とした食感です。これは、餅を搗く工程をあえて途中で止める「半殺し」という製法によるものです。

「半殺し」という響きがコワイ

完全に搗いたおもちは「本殺し」というよ

製法技術

蒸した米を臼や餅搗き機に入れ、滑らかになる一歩手前で搗くのを止めます。この微妙なタイミングを見極めるのが、長年の経験を持つ作り手の腕の見せ所です。

材料の秘密

一般的なお餅は「もち米」で作るもの。
しかし、「こごめ餅」はもち米100%ではなく、うるち米を混ぜるのが一般的です。

これは、もち米のみだと粘り気が強すぎて全体が固まりすぎてしまうため。
もち米にうるち米を混ぜることで、餅全体の粘りを適度に抑え、歯切れの良さと粒の食感を際立たせる効果があります。この配合が、福井のこごめ餅独特の風味を生み出しています。

子どもでも食べやすいおもちだね

もち米とうるち米は半々くらいにすることが多いですが、うるち米を3割程度に抑えることもあります。
うるち米の割合が多いほど、粘りが少なく歯切れのよい食感になります。

歴史的背景と役割

こごめ餅は完全な餅よりも作る手間が少なく、またうるち米を混ぜることでもち米を節約できるという、農家の知恵から生まれた餅です。
名前の由来は、うるち米を脱穀、選別した時に出る割れた米や小さな米(小米・こごめ)を、庶民が餅に混ぜたからと言われています。
腹持ちが良いことから、農作業の合間の「間食」や、日常の簡便な主食として、古くから親しまれてきました。

こごめ餅の食べ方

つきたてならば加熱する必要がなく、丸めてきな粉をまぶしたり、シンプルに塩や砂糖醤油をかけたりして食べられます。
寒い時期には雑煮に入れたり、焼いて磯辺焼きのようにして食べることもあります。雑煮にしても煮崩れることが少ないのも特徴です。

ぜひこごめ餅を作ってみてください

こごめ餅は福井の庶民の味。
焼くと香ばしく、食べやすい食感が魅力です。

ぜひご自宅でも作ってみてくださいね。
その際は、タナカのもち米とうるち米をぜひどうぞ。

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