いつもタナカ農産のお米を食べていただき、ありがとうございます。
「スーパーに行くと、8月には九州産の『新米コシヒカリ』が並んでいるのに、福井の新米が出るのは9月ですよね。同じコシヒカリなのに、どうして収穫時期が違うんですか?」
たしかに、日本全国で同じ品種(コシヒカリなど)が育てられているのに、早い地域と遅い地域では収穫に1ヶ月以上のズレがあります。これには、お米が育つための「気温」と「水温」、そして農家が決める「田植えの時期」が大きく関係しています。
今回は、米づくりをしている農家の視点から「地域による収穫時期の違い」について分かりやすく解説します。
大きな理由は「気温」:収穫の目安は「積算温度」
同じ品種でも収穫時期がずれる大きな理由は、その土地の「気温」です。稲の実り具合は、日々の気温の積み重ねである「積算温度(せきさんおんど)」で目安を立てることができます。
コシヒカリは「穂が出てから約1,000℃」が収穫の目安
穂が出た翌日からの毎日の平均気温を足していき、一定の温度に達すると、お米が収穫できる状態に近づきます。コシヒカリの場合、穂が出てから収穫までの積算温度の目安は「約1,000℃」とされています。
- 1日の平均気温が25℃なら:1000÷25= 40日
- 1日の平均気温が20℃なら:1000÷20= 50日
このように、暖かい地域ほど早く1,000℃に到達するため、お米が熟すスピードが早くなり、収穫時期も早まるというわけです。
ただし積算温度はあくまで目安です。実際の刈り取りは、籾(もみ)の大部分が黄色くなったかどうかなど、田んぼごとの様子を見て決めます。
「水温」の違いも成長スピードを左右する
気温だけでなく、田んぼに張る「水温」も稲の成長に影響します。田んぼの水は、稲にとって温度をやわらげる「お布団」のような役割を果たしています。
山の冷たい水か、平野の暖かい水か
田植え後の春から初夏にかけて、田んぼに引き込む水が冷たいと、稲の育ちがゆっくりになり、茎が増える「分けつ」も進みにくくなると言われています。
たとえば雪解け水が流れ込む山間部の田んぼは、水温も気温も平野部より低くなりがちです。そのため、同じ福井県内でも山間部のほうが収穫時期が少し遅くなる傾向があります。
おいしさを守るための「農家の作戦」でもある
気温と水温という自然の条件だけでなく、「よいお米に育てるために、農家が田植えの時期を計算してずらしている」という理由もあります。
台風を避ける「早期栽培」
九州南部などの暖かい地域でコシヒカリの収穫が7〜8月と早いのは、早く植えて早く刈り取る「早期栽培」が行われているからです。その大きな理由のひとつが、秋に来る台風の前に収穫を終えることです。
猛暑(高温障害)を避けるための「遅植え」
近年は、夏の猛暑がお米づくりの大きな課題になっています。お米が実る時期(登熟期)に気温が高すぎると、お米が白く濁る「白未熟粒(しろみじゅくりゅう)」が増え、見た目の品質が落ちてしまいます。これを高温障害と呼びます。
そこで、いちばん暑い7月下旬〜8月上旬に穂が出るのを避け、少し遅れて穂が出るように田植えの時期を遅らせる工夫が広がっています。福井県の試験研究でも、コシヒカリの田植えを5月中旬に遅らせて穂が出る時期を8月3日以降にすると、白く濁った粒の発生がおよそ半分に減ったと報告されています。
地域ごとの気温を見ながら田植えの時期を逆算して、お米のスケジュールは組まれているのです。
福井・タナカ農産(東郷地域)のコシヒカリの収穫はいつ?
私たちタナカ農産がある福井県福井市東郷地域では、例年(ここに筆者の体験:コシヒカリの稲刈りの時期 例「9月○旬〜○旬」)ごろにコシヒカリの稲刈りを行っています。
福井の気候と、東郷地域を流れる水【要確認:足羽川の水か、伏流水か、どこから引いているか】の条件を見ながら、刈り取りのタイミングを見極めています。
まとめ:お米の収穫時期は、その土地に合わせた工夫の結果
- 収穫時期の違いは、毎日の気温の積み重ね「積算温度」が地域で違うから。
- 山の冷たい水か、平野の暖かい水かといった「水温」も成長スピードに影響する。
- 台風や猛暑(高温障害)を避けるため、農家が田植えの時期を計算してずらしている。
全国各地で収穫時期が違うのは、それぞれの土地の農家が「その地域でおいしいコシヒカリを作るためのタイミング」を考えた結果でもあります。
気候や水の違いが生み出す、地域ごとの「新米の時期」。福井・東郷の田んぼで育ったタナカ農産のコシヒカリも、ぜひ味わってみてください。
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参考にした資料
- コシヒカリの成熟期の目安(積算温度1,000℃):長野県 水稲成熟期予測、新潟県 収穫適期のめやす
- 積算温度の数え方(出穂期の翌日以降の日平均気温の合計):福島県 適期刈取りについて
- 遅植えによる高温対策(5月中旬植え、出穂8月3日以降で乳白粒約1/2):福井県農業試験場 高温年次におけるコシヒカリの品質向上のための移植時期
- 高温期(7月下旬〜8月上旬)の出穂を避ける:茨城県 水稲「コシヒカリ」の高温対策
- 台風前に収穫するための早期栽培:JAあいち海部

このブログを作成している タナカ農産グループ 中路(なかじ)です。
タナカ農産は、福井県福井市東郷地区で、約40年にわたり米づくりを続けている生産者です。
日本の主食である「お米」を、安全・安心で、次の世代にも誇れるかたちで届けたいという想いのもと、日々田んぼと向き合っています。
【ライター紹介】
名前: 中路翔馬
タナカ農産でお客様対応や販促企画に関わっています。
専門的な話も、暮らしの中でどう役立つかを意識して、
できるだけおもしろく、分かりやすくお伝えしています。
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【タナカ農産の米づくり】
当農産グループでは、以下のような米づくり、商品づくりに取り組んでいます。
有機JAS米・自然栽培米・無農薬米・減農薬米
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