ぬかの歴史とメカニズム
「コロナ禍」による影響で、おうち時間がかなり増えました。徐々に本来の姿に戻りつつありますが、ライフサイクルやライフスタイルの見直しにより、おうちの中で取り組めるモノや、他人と接触しない行動がブームになって、今もその人気は定着しています。「DIY」や「キャンプ」等が最たる例でしょうか。あまり大掛かりでなくても、「紅茶」や「ぬいぐるみ」とか、ちょっと人と違うこだわりを見つけて、新しい発見を見出した事が素敵だと思えます。そんな中の一つとして、「ぬか漬け」を自分で作ってみる人が増えています。
タナカ農産でも「漬けものぬか」を販売していますが、年々注文数は増えており、お米を購入された方にサービスでぬかをプレゼントもしていますが、そのプレゼントぬかもここ数年、希望される方は多くなっています。
ぬか漬けブームの火付け役は、無印食品さんの「発酵ぬかどこ」らしいのですが、近所のスーパー等でも「ぬかどこセット」はたくさんの種類が売られています。やはりブームは確実に到来しているみたいです。
身近な食べ物のぬか漬けですが、あまり詳しく理解している方は多くないと思いますので、今回は「ぬか漬け」のヒミツをヒモ解いて、どの様な効能・効果が得られるのかを理解したいと思います。また、実際にタナカ農産の「漬けものぬか」を使用して、ぬか漬けを作ってみたいと思います。
ぬか漬けの歴史
ぬか漬けの歴史は、平城京跡から出土した木簡に「須須保利(すずほり)」という漬物が記されており、ぬか漬けの原型となったと推定されているそうですが、広くぬか漬けが定着したのは、江戸時代初期であると言われております。この頃には、「玄米」を精米して「白米」が徐々に食べられる様になった為、白米ばかり食べるようになった食事は、ビタミンB1不足に陥りやすく、脚気患者が増加し「江戸患い」と呼ばれる様になりました。栄養学が発達していた訳ではないのですが、玄米に含まれているぬかを口にしていた人は、脚気を患う事が少なかった事が確認されていたので、野菜をぬかに漬け込み、副食として一緒に食べる事が好まれるようになったと言われております。
因みにこの「江戸患い」の対策の為に、ぬか漬けが発展したかの様に思えますが、ぬか漬けの発祥の地は北九州だと言われております。北九州小倉藩の城主であった「細川忠興」がこのぬか漬けを大変好んだ為、城下の庶民にも広く親しまれていったとの事です。この細川忠興の奥さんは細川ガラシャと言い、かの有名な明智光秀の娘さんです。本能寺の変では明智光秀に協力しなかった細川忠興ですが、もし明智光秀に協力していたら(協力して負けていたら・・・)、ぬか漬けはこの世に生まれていなかったのかもしれません。
ぬか漬けは日本が世界に誇る発酵食品の一つ
ぬか漬けと一口に言いましても、野菜をぬかの中に入れただけでは、美味しいぬか漬けは出来ません。美味しいぬか漬けを作る為には、適切な条件を整える必要がありますが、条件が整った上で野菜を漬け込むと、普通に食べるのよりも甘み・旨味・栄養が数倍増したぬか漬けが完成します。何故この様な変化が起こるのか不思議な現象なのですが、このぬか漬けの正体は日本が世界に誇る発酵食品の一つだからなのです。
日本には味噌や醤油・酢・みりん等、発酵食品が豊富に存在します。これらは、麹菌・乳酸菌・酵母菌等が複雑に関係し合って、栄養や旨味を独特に変化させていますが、健康に良い乳酸菌が多く働く事によって、腐敗菌の増殖が抑えられ、保存食として古くから親しまれてきました。
栄養学が発達した現代では、日本の発酵食品は優れた健康食品として、世界的に注目を浴びています。納豆(Natto)が一番有名かもしれません(但し、納豆は海外の方が嫌いな日本食ランキングでも4位にランクインしています)が、今のブームが更に飛躍して、ぬか漬けが脚光を浴びる日も近いかもしれません。
ぬか漬けのメカニズム
ぬか漬けが発酵食品である事はわかりましたが、そのメカニズムは一体どうなっているのでしょうか?漬け込んだ野菜が本来持っていない甘みや旨味・風味を味わう事が出来ますが、どういう変化が起こっているのかはすごく気になる所です。しゃきしゃきとした食感を楽しむ事が出来るので、野菜自体が発酵している訳ではなさそうですが・・・メカニズムを紐解いてみましょう。
ぬか
まず、発酵の元となる原料は「ぬか」です。ぬかにはたくさんの栄養素が含まれており、これらの栄養素が麹菌・乳酸菌・酵母菌等の働きによって、様々な化学反応が起こります。健康に良いとされているのは乳酸菌の力が強く働き、乳酸発酵がメインの発酵となっているからです。
このぬかは毎日使っていると少しずつ減っていきますので、定期的にぬかを追加する必要があります。この追加する事を「足しぬか」と言いますが、足しぬかをする事でぬか漬けの元となる「ぬか床」は常に一定となり、バランスの良いぬか床をずっと使い続ける事が出来ます。
バランスの良いぬか床は、大きく分けて表面に「産膜酵母菌」、真ん中に「乳酸菌」、底面に「酪酸菌」が常駐する様になります。このバランスが崩れると、臭いが目立つ様になるので、定期的に表面から底へ・底から表面へと、かき混ぜる作業が必要になります。
ぬか床には塩分が含まれるのが必須条件となります。生成された乳酸発酵の旨味や風味を、浸透作用により野菜に染み込ませる為に必要だからなのです。そこで野菜の水分が抜けてぬか床の旨味と入れ替わる事で、しんなりとした美味しいぬか漬けを味わう事が出来るのです。ぬか床には最低限、塩分と水だけで作る事が出来ますが、旨味を倍増させる為に「昆布」「煮干し」「かつおぶし」「干し椎茸」等を入れても問題ありません。入れる物をアレンジして、自分に合った物を見つけ出す事も面白いかもしれません。
ぬか漬けのメカニズムについてある程度理解出来ましたので、その元となる「ぬか床」について、少し学んでみたいと思います。
ぬか床
基本となるのは、米ぬかと水と塩が混じった状態になりますが、世間一般で流通している物としては、「ぬか1kg」「水900g」「塩100g」で、全量「2kg」に対して「塩100g」の濃度5%程度が一つの目安となっております。商品として販売されているぬか床セットの場合、濃度が6.1%であったり6.5%であったりとバラツキが生じたりしていますが、自分で作る場合はだいたい濃度5%を指標にして整えていれば問題ないかと思われます。
また、ぬか床内の水分量は、55%~65%くらいが適切と言われておりますので、「水900g」を基準としてプラスアルファーで整えてあげれば良いかと思います。水分が多すぎた場合は、キッチンペーパー等で吸い取りますが、味噌くらいの硬さや耳たぶくらいの硬さが丁度良いと形容されています。作った際の参考にしてみて下さい。
~ぬか漬けセットで作ってみた~
タナカ農産のぬか漬けセット
タナカ農産では「ぬかどこセット」「詰替ぬかどこ」を販売しております。炒った米ぬか1000g(500g×2)と天然塩がミックスされた物ですが、こちらと別途樽袋(ぬか1kg用)を使用して実際にぬか漬けを作ってみたいと思います。あらかじめぬか床を下準備して作る事はせず、簡易的な方法で出来上がりがどの様になるのかを見てみたいと思います。

(用意した物)
タナカの詰替ぬか床
タナカの純水
樽袋
野菜各種(ナス・キュウリ・ニンジン・ウリ3種・オクラ)

旬の夏野菜を取り揃えてみました。ウリは3種類あって写真左から真桑瓜(マクワウリ)・白瓜(シロウリ)・蛙瓜(カワズウリ)となります。蛙瓜は、福井県で古くから作られてきたウリの一種で、福井の一部地域ではカエルの事を「ぎゃる」とも言いますので、蛙瓜は「ぎゃるうり」としても販売されています。名前に特徴がありますので、福井の特産品としてお土産にオススメです。

野菜のカット作業。社長が奮闘しております。




ボウルの中に、タナカの詰替ぬか床とタナカの純水を注ぎ込みます。まずはたっぷりとぬか床を作り、野菜を漬け込む前段階まで進めていきます。硬さは味噌くらいを目安に整えます。



出来上がったぬか床に、カットした野菜を入れていきます。これまでの作業で難しい作業はいっさいありません。

少し足りなかったので、追加でぬか床を作ります。これを加えると・・・


フタをされる様に、すっぽりと収まりました。1日漬け込んで変化を見てみたいと思います。次に、同じ手順で樽袋用のぬか床を作ります。



水分(硬さ)が整ったので、用意した野菜を漬け込んでいきます。



ボウルの時と同じ様に、すこし手で押さえつけて、中はこんな様子になりました。
1日おいて(12時間~18時間)、カットしてみたいと思います。

サランラップで密封して1日経ちました。漬け込んだ野菜を取り出していきます。


良い感じで漬け上がりました。少しプニプニして、入れた時よりも水分が抜けている感じがします。

サッと水洗いして、野菜をカットする(盛り付け)作業に入ります。



キレイに仕上がりました。ニンジンは1日だけではまだ硬いので、もう少し時間を置いた方が良いかもしれません。ナス・キュウリは美味しそうに出来上がりました。

彩り鮮やかな漬け物セットの完成です。
<おまけ>

会社で漬け込んだ野菜以外にも、ぬか漬けにしてみたら面白そうな食材がありましたので、自宅に帰ってから漬け込んでみました。用意した食材は、
ゆで卵
プチトマト
玄米もち
キュウリ(個人的にスキ)
です。

会社で漬け込んだ方法(ボウル使用)と同じやり方で、用意した物を漬け込みました。プチトマトしか見えていませんが、中にはゆで卵・玄米もち・キュウリが入っています。1日置いた結果は


玄米もちは焼いた後の中の様子ですけど、変化はほとんどありませんでした。やはり浸透圧によって水分が移動するのがぬか漬けのメカニズムとなりますので、硬い食材は条件が整わないと上手く出来ない可能性があります。味は塩味がつき、そのまま食べても十分おいしいことが判明しました。


ゆで卵も見た目の変化はありませんが、こちらは中の水分がしっかり抜けて、ぬか床の塩分がしっかり浸透していました。こちらも、そのまま食べても塩味が効いていて美味しかったです。

切った断面の写真を撮り忘れましたが、薄塩プチトマトです。塩味がしっかり浸透しているので、やっぱり野菜とぬか漬けは相性が良いみたいですね。

安定のキュウリの漬け物♪
お客様からタナカのぬか漬けセットの感想をいただきました。
これまで様々なお客様から「おいしい」のご感想をいただいておりましたが、この度タナカ農産の米ぬかを使用してブログを書いていただきました。
ぜひこちらの記事も読んでみてください!

あとがき
美味しいぬか漬けを作る為には、しっかりと手入れされたぬか床を使うのが一番ベストかもしれませんが、手間暇がかかるのが少し面倒に思えたりします。しかし、やり込めばやり込むだけの美味しさが手に入るので、オリジナリティー溢れるぬか漬けを趣味として楽しむ人が増えつつあるのも、少し納得出来る物がありました。
しかし、簡易な方法でもしっかりとぬか漬けの楽しさ・美味しさを実感する事が出来ますので、自分のスタンスにあったやり方で、ぬか漬けに慣れ親しんでもらえたらと思います。
余談ですが、中路は今まで生きてきた中で、自分が漬け込んだぬか漬けキュウリが、世界で一番美味しかったと感じる事が出来ました。(笑)

このブログを作成している タナカ農産グループ 中路(なかじ)です。
タナカ農産は、福井県福井市東郷地区で、約40年にわたり米づくりを続けている生産者です。
日本の主食である「お米」を、安全・安心で、次の世代にも誇れるかたちで届けたいという想いのもと、日々田んぼと向き合っています。
【ライター紹介】
名前: 中路翔馬
タナカ農産でお客様対応や販促企画に関わっています。
専門的な話も、暮らしの中でどう役立つかを意識して、
できるだけおもしろく、分かりやすくお伝えしています。
お米関連の知識が少し身近に感じてもらえたら嬉しいです。
【タナカ農産の米づくり】
当農産グループでは、以下のような米づくり、商品づくりに取り組んでいます。
有機JAS米・自然栽培米・無農薬米・減農薬米
白米・玄米・発芽玄米・有機加工食品(おかゆ・餅・パックごはん など)
単に「収量」や「効率」を追うのではなく、土づくり・水管理・地域の自然環境との共生を大切にしながら、人の体にも、環境にもやさしい米づくりを続けています。
【このブログについて】
このブログでは、主に以下のような内容を発信しています。
お米に関する正しい知識や農薬・栽培方法の違いについての解説
米づくりの現場で実際に起きていること
農家だからこそ感じる、食と暮らしの話
災害備蓄や日常食としてのお米の活用方法
その他、お米に関係する豆知識など
ネット上には多くの情報がありますが、このブログでは 「実際に作っている農家の立場」 から、
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【こんな方に読んでいただきたいブログです】
安心できるお米を家族に食べさせたい方
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玄米を生活に取り入れてみたい方
食や農業を、もう一歩深く知りたい方
専門的な内容も扱いますが、
できるだけ分かりやすく、日常に役立つ形でお伝えすることを大切にしています。
【事業概要】
事業者名:タナカ農産グループ(タナカ農産株式会社)
所在地:福井県福井市下東郷町15ー45
事業内容:
・米の栽培(有機JAS米・自然栽培米・特別栽培米)
・精米・お届け
・加工食品販売(餅・パックごはん 等)の販売
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【関連会社】
蚊帳の製造・販売を行う「タナカ株式会社」
タナカ株式会社は、福井県で長年にわたり
日本の伝統的な蚊帳(かや)の製造・販売を行っている会社です。
天然素材を使った蚊帳づくり、職人の手仕事による縫製、修理・メンテナンスにも対応
「暮らしを守るものを、誠実につくる」という姿勢は、
米づくりを行うタナカ農産とも共通しています。
農業と蚊帳、一見違う分野ですが、どちらも“暮らしの支える事業として、
丁寧なものづくりを続けています。
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FAX:0776-41-3319
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